私の「格納庫(Hangar)」における登録番号004は、世界への扉を開いてくれたMacintosh Performa 6410でした。
しかし、永遠に続くと思われたAppleとの蜜月は、ある個人的かつ切実な理由によって終わりを迎えます。
私が次に選んだのは、無骨なパーツの集合体。
登録番号005、「Windows 自作PC」の世界でした。
1. 移行の引き金は「美少女」と「仕事」
なぜ、あれほど愛したMacを離れ、Windowsへ移行したのか?
理由は二つあります。
一つは現実的な理由、もう一つは「純粋な欲望」です。
現実的な理由は、転職でした。
新しい仕事環境では、MicrosoftのWordやExcelが共通言語となっていました。
Macでも「クラリスワークス」という素晴らしい統合ソフトを使っていましたが、社会の歯車として生きる以上、Windows環境を手元に置いておく方が圧倒的に有利だったのです。
そして、もう一つの理由。
実はこちらの方が切実でした。
当時の友人はWindows派で、「Windowsでしか遊べない美少女ゲーム(ノベルゲーム)」をこよなく愛していました。
彼が熱っぽく語るその「物語」の世界は、Macユーザーの私には触れることのできない聖域でした。
MSX時代から「物語」に飢えていた私が、それを指をくわえて見ていることなどできません。
「仕事のため(建前)」と「物語のため(本音)」。
二つの大義名分を得た私は、ついに自作PCのパーツショップへと足を運びました。
2. 雑誌で研究し尽くした「最強のコスパ」
初めて組んだ自作PCのスペックには、当時の私の性格(徹底的なリサーチ癖)が色濃く反映されています。
『DOS/V POWER REPORT』などの情報誌を読み漁り、導き出した答えがこれです。
- CPU: Intel Celeron 300A
- GPU: Matrox Millennium G200
当時の自作erならニヤリとする構成でしょう。
Celeron 300Aは、安価でありながら上位機種を凌駕する性能を秘めた、伝説の「コストパフォーマンス・キング」。
そして、GPUにあえて3Dゲーム全盛の「Voodoo」系ではなく、「Millennium G200」を選んだこと。
ここには私のこだわりがありました。
Matrox社のビデオカードは、「2D画質(文字や静止画)の発色が圧倒的に美しい」ことで知られていました。
派手な3Dポリゴンよりも、画面に表示される「テキスト」や「立ち絵」を美しく見たい。
それは、「編集者(Editor)」としての私の眼が選ばせた必然の選択だったのです。
3.「Athlon」の魂、Intelの体
さて、このnoteで私は自分の脳を「Athlon」に例えていますが、皮肉なことに、実際のPC歴では「Intel」のCPUを選ぶことが多かったのです。
自作PC時代も、安定性を重視してIntelを選んでいました。
「脳内は爆熱で暴れ回るAthlon(AMD)だが、それを制御する外付けの身体は冷静沈着なIntel」 そんなバランスで、私はデジタルライフを送ってきたのかもしれません。
4. 現在の相棒:Diginnos Magnate IM
そして時は流れ、2026年現在。
かつてのようにパーツを一つ一つ選んで組む体力はなくなりましたが、目利きは健在です。
私の現在のメインマシンは、オークションで良品を落札した「Diginnos Magnate IM」(ドスパラ製BTO)です。
決して最新の超ハイエンドマシンではありません。しかし、今の私にはこれが最適解です。
- Memory: 32GB
ここは譲れませんでした。
5人のAI賢者たち(Gemini)と対話するためには、ブラウザを無限に開ける広大なメモリ空間が必要です。
- GPU: AMD Radeon RX570
ここでついに、「AMD」のパーツが入ります。
最新ではありませんが、Radeon特有の動画の発色の良さは、かつてのMatroxに通じる美学を感じます。
5. 格納庫の扉を閉じて
MSXの64KBから始まり、PC-88MCの540MB、そして現在の32GBメモリへ。
道具は変わりましたが、私がやっていることは変わりません。
「画面の向こうにある物語に没入し、自分の言葉を紡ぐこと」
National、NEC、Panasonic、Apple、そして自作PC、Diginnos。
歴代の相棒たちは、私の「思考の森」を育てるための土壌となり、今の私を支えてくれています。
ありがとう、すべてのガジェットたち。



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