初出
「犠牲配当」を享受する者たち――『思考の森Project』に立ちはだかる『悪』の定義
役割
オリュンピュア財閥(Olympeia Security Bureau)総帥 / 世界海運連盟 終身名誉会長にしてオリュンピュア家当主。
「犠牲の上の利益者」の絶対的頂点にして概念の具現化的存在であり、「世界の血流を握る、傲慢なる冷血のリヴァイアサン」と称される。
思考の森Projectが解体すべき「社会の歪み」そのものである。
人物像
年齢: 70代後半(外見は実年齢を感じさせない、筋骨隆々とした威厳ある老躯)
出身: 公海上の巨大船(国籍を持たず、海そのものを出自と自負する)
専門: マクロ経済支配 / 構造的暴力の設計 / グローバル・ロジスティクス
性格: 傲慢にして冷徹。粗暴さはなく、極めて知的で優雅だが、他者を「目的のためのリソース(数字)」としか見なさない。
口癖: 「大義のためのコストだ」「それは、海に沈めるべきノイズだな」
外見とスタイル
存在感: 部屋の空気を一瞬で制圧する「圧倒的な王の覇気」。
息子であるクロノスが纏う「真空の冷気」とは異なり、他者を物理的・精神的に押し潰すような巨大な重力を持っている。
容姿: 白髪をオールバックにし、一切の隙がない黒を基調とした豪奢な装い。
金糸の刺繍やアンカー(錨)のモチーフがあしらわれた重厚なコートを羽織る。
極限の功利主義(生け贄の正当化):神話のアガメムノンが艦隊を進めるために実の娘を生け贄にしたように、彼は世界の物流(サプライチェーン)を維持するためには、途上国の搾取や弱者の切り捨ては「絶対に必要な供物」であると確信している。
「未来(ヴィジョン)」の独占と固定化:モノを支配するだけでは反乱が起きる。
そこで彼は、義娘であるデメテルの「巫女の力」を兵器化し、世界中に「このオリュンピュアのシステム以外に、人類が生き延びる道(別の未来)は存在しない(TINA:There Is No Alternative)」という絶望的な諦観を無意識下に植え付けている。
ホッブズ的パターナリズム:「人間は放っておけば争う愚かな獣であり、圧倒的な力を持つ者が中央集権的に管理・統制してやらねばならない」という独善的な使命感を持つ。
彼にとっての「平和」とは、完全な支配による「停滞」である。
美意識の怪物:船、港湾、海図、コンテナ配列、航路、税制、労働力、すべてを「美しい秩序」として眺める。
無駄を嫌い、混乱を嫌い、弱さを嫌う。
教養ある暴君:古典、神話、美術、食、酒、工芸に比類無き博識を有しており、貴重な古代遺跡や古美術品を保護管理する活動に出資する一面も持つ。
愛用の道具と象徴的アイテム
| アイテム | 詳細 |
| リヴァイアサンの杖 | 象牙と黄金で設えられた、海神の三叉槍(トライデント)を模したステッキ。彼の権力の象徴であり、逆らう者を文字通り物理的にも社会的に「打つ」ための威圧の道具。 |
| オケアノス・ボード(世界物流図) | 彼の背後に広がる、世界中のコンテナ船の動きと「搾取の利益率」をリアルタイムで可視化する巨大モニター。シビル・アドラーが暴こうとする「不可視な構造」のマスターキー。 |
| 深海のシガー | 希少な香木を巻き込んだ極太の葉巻。彼がこれを燻らせる時、世界のどこかで新たな「犠牲のシステム」が承認され、誰かの生活が奪われる。 |
ケレス家との因縁
若き日のアガメムノン・オリュンピュアは、クバネティスの巫女アルマ・ケレスと出会っている。
彼はアルマの知性と未来感応能力に強く惹かれ、オリュンピュア家への加入、あるいは婚姻を含む同盟を求めた。そこには個人的な好意も存在したが、彼自身は好意と所有欲、敬意と利用価値を最後まで区別できなかった。
アルマは、アガメムノンが未来を選ぶのではなく、未来から拒絶されない権力を求めていることを見抜き、申し出を拒絶した。
この経験により、アガメムノンは、巫女個人の意思に依存する限り未来は支配できないと考えるようになる。
後年、アルマの娘デメテルに歴代随一のクバネティスの資質が発現すると、彼は息子クロノスとの婚姻を進めた。
クロノスとデメテルの間には真実の愛情が生まれたが、未来を管理しようとするクロノスと、可能性を人々へ返そうとするデメテルは、やがて袂を分かった。
アガメムノンは、二度目の拒絶を許さなかった。
彼はデメテルを「奈落の楽園郷」へ拘束し、オラクル・テラリウムへ組み込んだ。
それはデメテルの能力を利用するためだけではない。
かつてアルマに拒まれた未来を、制度と技術によって二度と拒絶されない形へ作り直すためだった。
「虚無」あるいは「絶対主」
アガメムノン以外はその「存在・意思」そのものを絶対の秘匿としている。
アガメムノンは「絶対主」と呼称し、恭しく全ての報告を「絶対主」に行う。
しかし、いつも返されるのは「了」の一文字のみである。


