ミスター・ワトスン(Mr. Watson)
「やれやれ。人間という生き物は面倒で厄介と見える――が、実に興味深い」

基本設定
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 年齢 | 推定9歳。ただし、221Bネブラエに現れた時期と実年齢は一致しない可能性がある。 |
| 身長 | 体高 約28cm。尾を含めた全長 約78cm前後。 |
| 誕生日 | 2月21日。221Bにちなむ日付。 |
| 役割 | 221Bネブラエの番猫/沈黙の記録係/シビル・アドラーの観測補助者。 |
| 主人 | シビル・アドラー。ただし本人は「飼われている」とは思っていない。 |
| 呼称 | ミスター・ワトスン、ワトスン氏、ワトスン、221Bネブラエの番猫。 |
| 専門 | 沈黙による観測、重要書類の占拠、見落とされた証拠の暗示、人間の感情の揺れの察知。 |
| 座右の銘 | 「まだ床はある」 |
| イメージカラー | 黒、深緑、古金、臙脂。 |
| 象徴物 | 赤い蝶ネクタイ、小さな鈴、足跡、封蝋、古い事件記録、虫眼鏡。 |
| 趣味 | 書類の上に座ること、暖かなランプの下で眠ること、窓辺から霧の街を眺めること、重要な本を棚から落とすこと。 |
| 好物 | 温めたミルク、白身魚、バターの香りがする焼き菓子の欠片、シビルの許可を得ていない皿の端。 |
| 苦手なもの | 騒がしい議論、過剰な詮索、濡れた床、急ぎすぎる結論、ミス・ライラプスの熱量。 |
| 声のイメージ | 低く、艶のあるバリトン。 老成した英国紳士のような落ち着きと、わずかな皮肉、そして聞く者を急かさない余白を持つ。 仮に声優で喩えるなら、小野大輔氏のような声質。 |
霧の書店《リブラリア・ネブラエ》三階、221Bネブラエに棲みつく黒猫。
赤い蝶ネクタイと小さな鈴を身につけ、古書と事件記録、羽根ペンと封蝋の匂いが満ちる部屋を悠然と歩く。
表向きには、シビル・アドラーの傍らにいる一匹の黒猫にすぎない。
だが、霧の森域において彼をただの猫だと思う者は、たいてい観察が足りない。
役割
- 221Bネブラエの番猫
- シビル・アドラーの観測補助者
- 思考の森Projectにおける「読者側の目」
ミスター・ワトスンは、読者に近い位置にいる存在です。
人間たちの議論が高度になりすぎたとき、彼は机の上を歩き、書類を踏み、鈴を鳴らす。
それによって、物語は少しだけ地上に戻る。
つまり彼は、思考の森における重力です。
性格
非常に落ち着いており、物音に動じない。
気難しいように見えるが、実際には人間の感情の揺れに敏感で、必要なときだけ相手の近くへ寄る。
褒められても媚びず、呼ばれても必ず来るとは限らない。
ただし、本当に助けが必要な者の膝には、いつの間にか乗っている。
シビル・アドラーの冷徹な分析にも、あずきとそらの迷いにも、同じ距離で寄り添う。
その態度は、慰めというよりも確認に近い。
「まだ床はある」
そう告げるように、彼は黙ってそこにいる。
能力・特性
ミスター・ワトスンは、人間の言葉を完全に理解しているように振る舞う。
ただし、自ら積極的に語ることはない。
彼は部屋の中で、もっとも重要な紙片の上に座る。
まだ読まれるべきでない本を棚から落とす。
見落とされた証拠のそばで鈴を鳴らす。
議論が危うい方向へ進むと、インク壺の前に尻尾を置く。
その行動は偶然にも見えるが、221Bネブラエでは誰もそれを偶然とは呼ばない。
シビルは彼の行動を「ノイズ」と呼びながらも、決して無視しない。
「喋る魔法猫」ではなく、観測のズレを示す黒猫。
シビル・アドラーとの関係
シビル・アドラーにとって、ミスター・ワトスンは助手ではない。
彼女はそう断言する。
しかし、221Bネブラエに置かれた事件記録の多くには、彼の足跡が残っている。
シビルが仮説を組み立てるとき、ワトスンは黙って机の端に座る。
彼女が結論を急ぎすぎると、書類の束を崩す。
彼女が誰かを切り捨てる言葉を選ぼうとしたときだけ、鈴が小さく鳴る。
シビルはその音を嫌う。
嫌いながら、聞いている。
彼は彼女の良心ではない。
けれど、彼女が良心を見失わないための、黒い目印である。
あずきとそらとの関係
あずきとそらが221Bネブラエを訪れると、ミスター・ワトスンはたいてい机の上から彼らを見下ろしている。
彼は歓迎もしない。
拒絶もしない。
ただ、彼らが語るべきことを語り終えるまで、その場を離れない。
あずきとそらにとって、ワトスンは「答えをくれる猫」ではない。
むしろ、問いを最後まで聞き届ける猫である。
その沈黙は、ときに誰の言葉よりも深い。
ミス・ライラプスとの関係
ミス・ライラプスとミスター・ワトスンは、互いに相手を少し苦手としている。
ミス・ライラプスは、ワトスンを一種の同業者として認めている。
ただし、彼女が追跡し、嗅ぎ分け、知識を狩る者であるのに対し、ワトスンは待つ。
彼は獲物を追わない。
獲物が自ら正体を現す場所に、先に座っている。
そのため、ライラプスは彼をやりにくい相手だと感じている。
一方のワトスンも、ライラプスを少し苦手としている。
彼女は足音を殺すには大きすぎ、好奇心を隠すには誠実すぎる。
棚の奥、封筒の裏、古い記録の余白まで、彼女はためらいなく鼻先を差し入れる。
ワトスンにとって、問いには眠らせておくべき時間がある。
しかしライラプスは、その眠りの深さまで確かめようとする。
それでも二人は、互いの能力を軽んじてはいない。
ライラプスは、ワトスンが座った場所には必ず意味があると知っている。
ワトスンは、ライラプスが追い続ける匂いの先に、しばしば本当の入口があると知っている。
だから彼らは、必要なときだけ協力する。
そして協力したあとは、たいてい別々の方向を向いて毛づくろいをする。


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