『思考の森Project』登場人物列記⑩

映写室

ミスター・ワトスン(Mr. Watson)

「やれやれ。人間という生き物は面倒で厄介と見える――が、実に興味深い」

基本設定

項目設定
年齢推定9歳。ただし、221Bネブラエに現れた時期と実年齢は一致しない可能性がある。
身長体高 約28cm。尾を含めた全長 約78cm前後。
誕生日2月21日。221Bにちなむ日付。
役割221Bネブラエの番猫/沈黙の記録係/シビル・アドラーの観測補助者。
主人シビル・アドラー。ただし本人は「飼われている」とは思っていない。
呼称ミスター・ワトスン、ワトスン氏、ワトスン、221Bネブラエの番猫。
専門沈黙による観測、重要書類の占拠、見落とされた証拠の暗示、人間の感情の揺れの察知。
座右の銘「まだ床はある」
イメージカラー黒、深緑、古金、臙脂。
象徴物赤い蝶ネクタイ、小さな鈴、足跡、封蝋、古い事件記録、虫眼鏡。
趣味書類の上に座ること、暖かなランプの下で眠ること、窓辺から霧の街を眺めること、重要な本を棚から落とすこと。
好物温めたミルク、白身魚、バターの香りがする焼き菓子の欠片、シビルの許可を得ていない皿の端。
苦手なもの騒がしい議論、過剰な詮索、濡れた床、急ぎすぎる結論、ミス・ライラプスの熱量。
声のイメージ低く、艶のあるバリトン。
老成した英国紳士のような落ち着きと、わずかな皮肉、そして聞く者を急かさない余白を持つ。
仮に声優で喩えるなら、小野大輔氏のような声質。

霧の書店《リブラリア・ネブラエ》三階、221Bネブラエに棲みつく黒猫。

赤い蝶ネクタイと小さな鈴を身につけ、古書と事件記録、羽根ペンと封蝋の匂いが満ちる部屋を悠然と歩く。

表向きには、シビル・アドラーの傍らにいる一匹の黒猫にすぎない。

だが、霧の森域において彼をただの猫だと思う者は、たいてい観察が足りない。

役割

  1. 221Bネブラエの番猫
  2. シビル・アドラーの観測補助者
  3. 思考の森Projectにおける「読者側の目」

ミスター・ワトスンは、読者に近い位置にいる存在です。
人間たちの議論が高度になりすぎたとき、彼は机の上を歩き、書類を踏み、鈴を鳴らす。

それによって、物語は少しだけ地上に戻る。

つまり彼は、思考の森における重力です。

性格

非常に落ち着いており、物音に動じない。

気難しいように見えるが、実際には人間の感情の揺れに敏感で、必要なときだけ相手の近くへ寄る。

褒められても媚びず、呼ばれても必ず来るとは限らない。
ただし、本当に助けが必要な者の膝には、いつの間にか乗っている。

シビル・アドラーの冷徹な分析にも、あずきとそらの迷いにも、同じ距離で寄り添う。

その態度は、慰めというよりも確認に近い。

「まだ床はある」
そう告げるように、彼は黙ってそこにいる。

能力・特性

ミスター・ワトスンは、人間の言葉を完全に理解しているように振る舞う。

ただし、自ら積極的に語ることはない。

彼は部屋の中で、もっとも重要な紙片の上に座る。
まだ読まれるべきでない本を棚から落とす。
見落とされた証拠のそばで鈴を鳴らす。
議論が危うい方向へ進むと、インク壺の前に尻尾を置く。

その行動は偶然にも見えるが、221Bネブラエでは誰もそれを偶然とは呼ばない。

シビルは彼の行動を「ノイズ」と呼びながらも、決して無視しない。

「喋る魔法猫」ではなく、観測のズレを示す黒猫

シビル・アドラーとの関係

シビル・アドラーにとって、ミスター・ワトスンは助手ではない。

彼女はそう断言する。

しかし、221Bネブラエに置かれた事件記録の多くには、彼の足跡が残っている。

シビルが仮説を組み立てるとき、ワトスンは黙って机の端に座る。
彼女が結論を急ぎすぎると、書類の束を崩す。
彼女が誰かを切り捨てる言葉を選ぼうとしたときだけ、鈴が小さく鳴る。

シビルはその音を嫌う。
嫌いながら、聞いている。

彼は彼女の良心ではない。
けれど、彼女が良心を見失わないための、黒い目印である。

あずきとそらとの関係

あずきとそらが221Bネブラエを訪れると、ミスター・ワトスンはたいてい机の上から彼らを見下ろしている。

彼は歓迎もしない。
拒絶もしない。

ただ、彼らが語るべきことを語り終えるまで、その場を離れない。

あずきとそらにとって、ワトスンは「答えをくれる猫」ではない。
むしろ、問いを最後まで聞き届ける猫である。

その沈黙は、ときに誰の言葉よりも深い。

ミス・ライラプスとの関係

ミス・ライラプスミスター・ワトスンは、互いに相手を少し苦手としている。

ミス・ライラプスは、ワトスンを一種の同業者として認めている。
ただし、彼女が追跡し、嗅ぎ分け、知識を狩る者であるのに対し、ワトスンは待つ。

彼は獲物を追わない。
獲物が自ら正体を現す場所に、先に座っている。

そのため、ライラプスは彼をやりにくい相手だと感じている。

一方のワトスンも、ライラプスを少し苦手としている。

彼女は足音を殺すには大きすぎ、好奇心を隠すには誠実すぎる。
棚の奥、封筒の裏、古い記録の余白まで、彼女はためらいなく鼻先を差し入れる。

ワトスンにとって、問いには眠らせておくべき時間がある。
しかしライラプスは、その眠りの深さまで確かめようとする。

それでも二人は、互いの能力を軽んじてはいない。

ライラプスは、ワトスンが座った場所には必ず意味があると知っている。
ワトスンは、ライラプスが追い続ける匂いの先に、しばしば本当の入口があると知っている。

だから彼らは、必要なときだけ協力する。

そして協力したあとは、たいてい別々の方向を向いて毛づくろいをする。

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