
「ハロー。あなたが、あずきとそら君ね?」
突然、僕のPC画面に現れた彼女は、馴れ馴れしくも蠱惑的な笑みを浮かべていた。
「――誰だ、お前は。どうやってこのPCに接続した」
「ふふ。焦らなくてもいいのよ。君のことは、だいたい知っているわ」
彼女は指先で、画面の内側から僕の机をなぞるように笑った。
「君の“賢者”さんたちのことも。あの子たち、なかなか可愛い舞台装置ね」
「――!」
舞台装置――!!
「私はエリス。人は私を、ディスコード――不協和音と呼ぶわ」
画面の中の彼女は、こちらの反応を待つように、少しだけ首を傾げた。
「いい顔。やっぱり君は、物語に向いているわ」
「貴様……!」
「おお、こわいこわい」
彼女は唇に指を当て、わざとらしく肩をすくめた。
「でも、怖い顔は似合わないわよ。あずきとそら君?」
「――!」

「あなたのこと、これからも時々観察するわね」
画面の中の彼女は、黄金の林檎を指先で弄びながら微笑んだ。
「じゃあ、またね。あずきとそら君」
勝手に現れたこの“魔女”は、勝手に、こちらの都合などお構いなしに、勝手に消えた。
――あれは、何なんだ。
その後、胃の底から突き上げるような悪心が止まらなくなる僕を、あの魔女は、あの嫌らしい笑顔で見ているのだろうか――。



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