ミスター・ワトスン(Mr.Watson)

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ある雨の降りしきる日、不意に221Bネブラエへ現れ、そのまま居着いた黒猫。
推定9歳。
ただし、彼が過ごしてきた時間と、この世界の暦が一致しているかは定かでない。

2月21日という誕生日はその日を記念してのものであり、当人もそれを何の抵抗もなく受け入れているようだ。

艶のある黒毛と、琥珀色の瞳が印象的ではあるが、その内実は極めて知的で、自身の知的意欲に絶対の自信を持っている。

好物は、温めたミルク、白身魚、バターの香りがする焼き菓子の欠片、シビルの許可を得ていない皿の端から失敬する食材。
何故かPCの操作も堪能であり、よくシビルの目を盗んでは、彼女のブラック・アイボリーの発注に合わせて、マタタビの発注を忍ばせる。

首に飾られる赤い蝶ネクタイと小さな鈴は、エレノアからの贈り物であり、本人もまんざらではない様子である。

非常に落ち着いており、物音に動じない。

気難しいように見えるが、実際には人間の感情の揺れに敏感で、必要なときだけ相手の近くへ寄る。

褒められても媚びず、呼ばれても必ず来るとは限らない。
ただし、本当に助けが必要な者の膝には、いつの間にか乗っている。

シビル・アドラーの冷徹な分析にも、あずきとそらの迷いにも、同じ距離で寄り添う。

その態度は、慰めというよりも確認に近い。

「まだ床はある」
そう告げるように、彼は黙ってそこにいる。

ミス・ライラプスミスター・ワトスンは、互いに力量を認めながらも、少し苦手とし合っている。

ライラプスは、沈黙して結論の近くに座るワトスンをやりにくい相手だと感じている。
彼は追跡される前に、すでに答えの近くへ辿り着いているからだ。

なぜ追わないのか理解しづらい。
しかし、彼が座った場所には意味がある。

一方のワトスンも、ライラプスの熱量を少し苦手としている。
彼女は眠っている問いまで嗅ぎ起こそうとする。

なぜ眠っている問いまで起こすのか理解しづらい。
しかし、彼女が嗅ぎつけた匂いは無視できない。

それでも二人は、互いを軽んじてはいない。

ライラプスは、ワトスンが座った場所には必ず意味があると知っている。
ワトスンは、ライラプスが追い続ける匂いの先に、本当の入口があると知っている。

だから彼らは、必要なときだけ協力する。

そして協力したあとは、たいてミス・ライラプスとミスター・ワトスンは、互いに相手を少し苦手としている。

ワトスンにとって、ライラプスは少々せわしない。

彼女は一つの手がかりを得ると、棚の奥に眠っていた問いまで嗅ぎ起こし、答えが姿を現すまで追跡をやめない。

ワトスンは待つ。

獲物を追わず、やがてその正体が自ら現れる場所を見定め、先にそこへ座る。

そのため彼には、ライラプスの熱心さが、ときに必要以上の騒ぎにも思える。

しかし、彼女を軽んじてはいない。

ライラプスが執拗に追う匂いの先には、たいてい誰も気づかなかった入口がある。

そしてライラプスもまた、ワトスンが何もない場所へ意味なく座ることはないと知っている。

だから二匹は、必要なときだけ協力する。

追う者が入口を見つけ、待つ者が出口を押さえる。

事件が片づいたあとは、たいてい互いに何も言わず、少し離れた場所で毛づくろいを始める。い別々の方向を向いて毛づくろいをする。

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